南阿蘇鉄道と立野ダム

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地域の方や観光客の貴重な交通手段として、また、観光資源そのものとして、復旧が望まれる南阿蘇鉄道。

実は、南阿蘇鉄道の復旧には、立野ダム建設計画が深く関わっています。

立野ダムは流水型ダムです。普段の河川の流水量を保ちつつ、洪水のときに水を溜め、放水量をコントロールすることで下流地域の河川氾濫を防止します。計画上では、このダムが許容量いっぱいまで水を溜めた場合、南阿蘇鉄道の白川第一橋梁が水没することになります。

白川第一橋梁では、列車は徐行しながら、谷あいの景色を乗客がゆっくり楽しめるようにしてくれます。車掌さんの解説もついてきて、景色がいっそう楽しくなる、名物ゾーンです。目もくらむような深い谷に、原生林の力強さが迫る、とてもいいスポットなのです。

立野ダム計画が進められると言うことは、この橋もなくなるということです。橋がなくなれば、南阿蘇鉄道もなくなります。

つまり、立野ダム計画が中止にならない間は、どんなに南阿蘇鉄道が資金を集めても、復旧に取りかかることができない可能性があるのです。

2012年7月12日に発生した九州北部豪雨災害では、阿蘇だけでなく熊本市内の白川流域でも、広範囲で氾濫被害が出ました。この水害をきっかけに、一度は計画見直しとなった立野ダム計画が、ふたたび進められることになったのは、先の記事でもお伝えした通りです。

しかし、立野ダム計画によって自然への大きなダメージを被る阿蘇地域だけでなく、氾濫被害にあった熊本市内からも、ダム計画への疑問の声が上がっています。下流域の氾濫被害を軽減するための方策はまだ全て行われたわけではない、河川改修など、下流域で行える対策を全て行うのが先だと、そういう考え方も根強くあります。

もういちど、考え直すチャンスが必要なのではと思います。今度は、熊本県民だけでなく、熊本の復興を心から願い応援して下さっている皆様も、一緒に。

熊本を、そして南阿蘇鉄道を応援してくださっている皆様、どうか、立野ダム建設計画の是非についても、合わせてご一考ください。

熊本地震における立野ダム建設計画についての、国土交通省の見解が出ていますので、こちらも合わせてご覧ください。どのようにお考えになるかは、読まれた方に委ねたいと思います。

国土交通省の見解

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