シリーズ3つめとなりました、『突撃!となりのジオパーク』、予告もせずに失礼しました。今回は、阿蘇ジオパークのほんとにおとなり、おおいた豊後大野ジオパークに突撃して参りました。
おおいた豊後大野ジオパークは、阿蘇の巨大噴火がもたらした火砕流台地の上にみられる様々な景観と、その上に築かれた文化をテーマにしたジオパークです。これだけ見ると、阿蘇と何が違うの?というふうに思われるかもしれませんが、大きな違いは…
これ(磨崖仏)なんです。
大分県での仏教文化の広がりに伴って、火砕流堆積物の層に数々の仏様が彫られていることです。
熊本県では、同じ火砕流堆積物の石材を使って、石橋や石垣などの建造物がたくさん作られました。しかしどういうわけか、壁に仏様を彫るという発想はなかったようです。
ガイド山崎、これがつねづね気になっておりました。そういうわけで、突撃のテーマは、
「磨崖仏と大分の仏教文化について学ぶ」!に決定です。
案内して下さったのは、浅川忠彦ガイド。優しい笑顔の奥に、磨崖仏への情熱が溢れています。
待ち合わせは原尻の滝のすぐ近く、宮迫東・西石仏ジオサイトです。
笑顔で出迎えてくれた浅川さんですが、これからの行程確認の際、ふと、気になる一言を……
「見るだけでぞっとするような、そんな仏様もいるので、ご案内しますね」
……仏様なのに?ぞっとする?
曰く、『宇宙人のような』ということですが、果たしてどんな仏様なのでしょうか。
嫌な予感はさておき、宮迫の石仏から、今日の行程はスタートです。
この仏様が彫られているのは、阿蘇4溶結凝灰岩。この層は、あまり強く固まっていません。層の中に、黒っぽい軽石が多く含まれているのが特徴的。
阿蘇由来の層というだけで私はニヤニヤドキドキです。
東では大日如来が毘沙門天と不動明王を従え、西では釈迦如来が薬師如来と阿弥陀如来と並んで優しく参拝者を見つめています。皆様とってもカラフル。
黒いラインは、一部では着色は炭で行われたと言われていますが、
「炭だとこんなに長く残らない。漆ではないかと考えている人もいます。私もそう思いますね」と浅川さん。
そして、黄色は阿蘇黄土、赤はベンガラ(阿蘇黄土を焼いたもの)。どこまでも阿蘇に染まる仏様でした。
「こういう仏様があるところには、きれいなお水も一緒に湧いているんです」
と浅川ガイド。信仰ときれいな水は切っても切れない関係ですし、プラス、阿蘇火砕流堆積層が水を含みやすく通しやすい性質であることも、ポイントになってくるところですね。
次に向かったのが、沈堕の滝ジオサイト。じっくりは見られず、展望台から眺めるだけでしたが、ご覧の通りのたいへんな景観!阿蘇4溶結凝灰岩の壁に掛かった滝で、幅の広い雄滝と脇から流れ込む細い雌滝があります。
ここは、大分~別府間に電車を走らせるための発電所の跡があり、今は公園になっています。
名前の通り、見ているだけで沈み堕ちるような心地のこの滝、その昔は、滝落としの刑が行われた刑場でもあったそうな……
そう言われた瞬間から、めっちゃ怖くなるじゃないですかー!山崎さんは意外と小心者ですよ!
続きましては、虹澗橋(こうかんきょう)ジオサイトです!
江戸時代のアーチ式石橋で、太鼓橋様式。凝灰岩を使って作られています。
現在は、アーチがコンクリートで均されており、少し前まで、この上をバスや車が通っていたそうです。橋の保全の為に、少し前から歩行者のみの通行となってます。
この谷を渡って年貢を納めに行くのが大変だったことから、地元の商人3人がお金を出し合い、掛けられた橋。昔は、公共事業を個人や団体単位で行っていたんですよね。
ここまでは、全体的に阿蘇4溶結凝灰岩のもたらした地形を見てきました。
その上に、人々が信仰を持ち、地形のむずかしさを克服して暮らす様子が、ありありとわかります。
楽しい楽しい、おおいた豊後大野ジオパークの旅。ですが、おおいた豊後大野の真の恐怖は、まだ始まってもいなかったのでした…………
「見るだけでぞっとするような、そんな仏様もいるので、ご案内しますね」
浅川ガイドのこの言葉を、次回、我々は身を持って体感することになるのです。
次回!磨崖仏界のアンパンマン、「顔が変わって力が出ない…!」その驚愕の姿とは!?
突撃!となりのジオパーク~おおいた豊後大野ジオパーク編②へ続きます!