船の上から大島を臨む。切り立った急斜面、地滑り面の土留め工事が施されたところが見えます。
突撃シリーズ、伊豆大島編もふたつめのお話に入ります。
いちど話を戻しまして、以前の記事で出したクイズの答え合わせから。
○火山をテーマにしたジオパークです。
伊豆大島ジオパークは、海底火山の活動によっておよそ2万5千年前に海上に顔を出し、その後幾度もの噴火を経て今の姿になりました。どこもかしこも生々しい火山の活動の跡がいっぱい。火山活動や土砂災害、火山防災をテーマにしています。 (※正確なところを教えていただいて修正しました!!(2/4))
○関東からは船を使って行きますよ!
東京・芝浦港より、ジェット船や大型客船が伊豆諸島へ向けて出ています。夜に出発する船に乗って、朝に到着。これもなかなかできない体験!
○実は意外な都道府県かもしれません!?
伊豆大島は、伊豆と名前がついてますが、実はれっきとした東京都内。車のナンバープレートは品川ナンバーです。島内の道は狭いところが多いので、軽自動車率が高く、品川ナンバーの軽自動車というレア度の高い車を見ることができます(笑)。
さて、この伊豆大島、先にも申し上げたとおり、およそ2万5千年前に海上に出てきた火山島。(※正確なところを教えていただいて修正しました!(2/4))つまり、阿蘇がカルデラ噴火を起こした9万年前には、現在の大島は海の中で火山活動していて、ということはASO-4ももちろん積もっていないということに。
(´・ω・`)∑9万年前は、大島地上にいなかったんだ!ショック!
私はこれが一番衝撃でした。山のラインもあちこちなだらかで若々しいですもんね。同じ火山をテーマにしていても、こういうところが違うから面白いんですよ!
今回の旅でたくさんのジオサイトを回ってくることができましたが、その中で特に面白くておすすめのところをピックアップしてご紹介したいと思います。
■三原山火口
深さ200mの三原山火口は、今にも噴火が始まりそうな迫力のジオサイト。29年前の噴火活動で火口壁が崩落し、火口を100mほど埋めてしまったのですが、その前は、時にマグマが上がってきて雲が赤く染まることもあったらしいです。(※正確な情報を教えていただいて修正しました!(2/4))
見ているだけで吸い込まれそう、と思っていると、脇には急斜面の谷があり、蒸気を上げる山肌があり。生きている火山の息吹を感じます。ちなみに蒸気には火山ガスが含まれていませんので、安心してホカホカを楽しんでください。
■裏砂漠
日本の国内で、『砂漠』の名前がついているのはここだけだそうです。マグマのしぶきが降り積もった真っ黒な荒れ地。生き物と言えばイタドリがわずかにいるくらい。よその星や、全く別の次元に迷い込んだような、不思議な気分になる場所です。
島の外側に向かってゆるっと傾斜があり、工夫次第で面白い写真が撮れるスポットでもあります。カメラを持ってれっつごー。
■大切断面
巨大なバームクーヘン、とパンフレットでは紹介されていますが、ずずーっと続くバームクーヘンの切り口の中に、何万年もの噴火の歴史がぎゅぎゅっと濃縮!ときどき、「どうしてこうなったの?」と考えても考えても分からない、不思議な接ぎ目(不整合面、と専門用語で言います)があり、推理合戦に熱が入ります。
もちろん、行く前にバームクーヘンのご用意をお忘れなく。
伊豆大島は、また度重なる土砂災害に見舞われる場所でもあります。様々な防災上の工夫を探すのも、たいへん楽しいところです。
溶岩を海へ誘導するための溝
流れてくる倒木を受け止めるネット
先の水害で露出した地滑り面に、早く根付くマメ科の植物のタネを蒔きつけて、経過を見守っているところもあり、様々な対策が施されています。
更に普段の生活においては、黒い軽石(スコリア)の水はけのよさを活かして家の石垣に利用していました。今の時期に有名な椿も、もとは防風林の役目で植えられたものだということです。島全体に、生きる知恵がいっぱい詰まっていますね。すごいことをさりげなくやっている、それが伊豆大島です。
島を見て回れば、噴火しようが地滑り起こそうが、なんとしてもここで暮らす!暮らしを守り抜く!という、伊豆大島の人々の気概が感じられると思います。
人はたくましい。生きてるってまじヤバイ。いのちの意味を、頭じゃなくて体で感じたくなったら、伊豆大島に教えてもらうのもいいのではないでしょうか。