大島の海を味わうお手軽クッキング♪

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こちらの記事でもちょこっと紹介しました通り、伊豆大島のお土産に海の水を汲んで帰ったガイド山崎。持ち帰った海水は、一度コーヒーフィルターで濾し、ごみを取り除きました。

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ほんのひとつまみくらいですが、海のごみ、入ってましたよ。濾された海水は真水と間違えて飲みそうなくらいきれいになりました。

IMAG6969ほこりよけにキッチンペーパーをかぶせて、しばらく置きます。ぐっと量が減るまで、濃縮させてから塩作りにとりかかるのがいいみたいなんですが、待ち切れなかったのか、私がお出掛けしている間に、同行者が塩を作ってしまいました。

というわけで、作っている様子などは写真と、同行者の感想の伝聞という形でのお伝えになります。

蜀咏悄 2016-02-06 21 55 35まず、きれいに洗った鍋(ティファールの中華鍋、直径28cm)に、濾した海水をあけます。

蜀咏悄 2016-02-06 21 56 50強火でぐつぐつ。

蜀咏悄 2016-02-06 22 07 47熱が回り、全体が煮立ちはじめると、

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淵のほうは早々と、真ん中あたりにも結晶化のきざしが見え始めてきます。

蜀咏悄 2016-02-06 23 11 17水分が飛ぶと、びっしりとお塩の結晶が!

蜀咏悄 2016-02-06 23 35 58ペットボトル1本の海水から、おちょこ1杯くらいのお塩ができました。

IMAG6970海水と、出来あがった塩の味を、それぞれみてみました。

海水のときは、しょっぱさとえぐさがとても強く、それが通り過ぎると後味がほんのり甘く感じられました。出来あがった塩は、海水の時に感じた塩気と苦味、甘味がさらにしっかりと際立って舌に残りました。口に入れた瞬間、思わず顔をしかめてしまいましたが、不思議と体が喜んでいるような感覚です。

食塩として一般に出回っているものは、ナトリウム99.9%で精製されており、そちらも間違いなくしょっぱくはあります、が、大島の塩のような奥深さはなく、飲み込んだ後、喉の奥がぎゅっと狭まるような感じ。なんとなく、体にも負担を掛けているように思いました。

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西谷さんの案内で、伊豆大島の塩工場を見学したときのことです。伊豆大島は昔から水にあまり恵まれない土地柄で、樹木から蒸散する水や雨水を集めて、大事に大事に使っていました。もちろん農作物を作ることもままならず、江戸時代は塩で年貢を納めていました。

現在、日本の塩の供給は、塩事業センターという公益財団法人が行っています。ナトリウム99%の不純物をほとんど含まない塩を、均質に作り、販売しています。規制が緩和されるまで、日本で流通している塩は塩事業センターで作られたものだけでした。

しかし、伊豆大島の塩産業は続けられました。

「ナトリウムだけの塩が、体にいいわけがない。さまざまなミネラルや海の成分を含んでいるからこそ、体になじむいい塩になるんだ」

という信念で、昔ながらの海水から塩を作る製法を守ってきたそうです。海の水を蒸散させて濃縮させ、釜で炊いて作るという、聞いているだけで熱中症になりそうな熱い製塩作業です。

体調を崩す方はいなかったんですか?と聞いたら、

「塩と水を飲んでたら大丈夫!!」

…という、力強い答えが返ってきて、えっとこれ、どう反応するのが正解だったんでしょうか?(困惑)汗から流れ出るナトリウム分を、水分と一緒にすぐに補えるから大丈夫ということは理屈として理解できますが、ああ、伊豆大島の方々はなんてたくましいんでしょうか……

暑いのが苦手な私でも……イケるでしょうか……今度は夏に行って試してみようかしら……

塩の販売の規制が緩和されてから、様々な地方の塩、工夫を凝らされた塩商品が、手軽に手に入るようになりました。料理を手軽に、魔法のように美味しくするフレーバー塩も、たくさんありますね。

しかし私ガイド山崎、今回、考えを改めました。

大島の人々が、年貢として作り続け、規制の中でも守り抜いた塩。稲作・畑作がきわめて難しい中で生き抜いてきた大島の人々の、主要産業となった観光産業ですが、それすら台風被害からの復興の真っ只中の今、真に伊豆大島のひとびとを応援するには、大島の塩を選んで買うことが大事なのでは、と。

塩産業を支え続けた方々は、単に伝統を守ってきたのではありません。伝統の塩づくりによって作られた塩は、健康をも守っていることを、誇りとしているのです。

自家製のお塩は、お料理のときにちょっとずつ使いました。優しい塩の味は、じかで舐めたときよりも控え目で、他のどんな調味料ともしっくりなじみます。大島の海の恵みに感謝しながらのお料理は、食べる前から胸がいっぱいになる、やわらかな楽しさがありました。

後日。

新幹線に乗る機会があり、キオスクをふと覗いてみれば。

IMAG7076大好物のチップスターの限定商品が……なんと!

IMAG7077大島産の塩、『海の精』を使っていました。これは買わざるを得ない……!!

これから新幹線をご利用のときは、チップスター東海道・山陽新幹線限定海の精使用しお味を、どうぞよろしくお願いします。

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