まずは、一年前の御嶽山の噴火でお亡くなりになった皆様のご冥福をお祈りいたします。現在行方不明となっている方も、一刻も早く見つけ出すことができますよう願っています。
御嶽山噴火から1年 追悼式で黙とう NHKニュース
多くの方が、犠牲者を悼み、思いを馳せています。
遺族の中には、防災体制や連絡体制の不備が悔しく思われる方もいらっしゃいます。
火山の防災体制については、この1年であちこちの火山で整備が進みました。火山によってクセがあるので、お山に合わせた防災体制が必要だ、ということは、このブログでも何度か触れてきたところです。
しかし、日本は火山が多い国です。現在活動中の火山、活動を始める可能性があるすべての火山で、同じように防災マップ・避難計画の作製が進むわけではないのが現状です。
50火山:噴火の避難計画、作成進まず 26火山になし 毎日新聞
いくつかの自治体にまたがって、防災計画の策定が必要となる場合が、特に難しくなるのではないか、と私は考えています。火山の影響範囲が不明な火山も多いのですが、これは、各火山を専門に観測をする研究者や機関がなかったためではないでしょうか。
1年の区切りの中で、噴火発生のときの状況を、その場にいた方が事細かに語ってくださっているのが、こちらの記事です。
生還女性が初めて語る“あの時” 「焼け死ぬのか、溶けるのかな」 産経ニュース
「御嶽山は初心者でも気軽に登ることができるだけに、十分な準備をしている方は少なかった。生き残れたのは運もあるが最低限の準備をしていったからだ」と言う。
女性は登山の際、日帰りでも簡易テントは必ず携行し、3千メートル級の山にはダウンジャケットも持っていった。夜になるまで生存していながら周囲で亡くなった登山客は、ダウンジャケットや簡易テントは持っていなかったようだった。生死を分けたのは「その差」と思っている。
この方は、噴火への備えこそしていませんでしたが、テントやジャケットなど、身を守るものを携行していたために、救助がくるまで持ちこたえることができました。噴火に対する知識があれば、また違った結果になっていたかもと、後になって考えることはたやすいことです。『大事なのは、いつでも、どんな可能性でも考えて、備えることだ』と、この記事の女性の言葉はわたしたちに伝えてくれています。
日本火山学会では、「安全に火山を楽しむために」というパンフレットを発行し、噴火の種類や噴火警戒レベルについてわかりやすく解説するとともに、火山に登るときの登山装備、そして、とっさに取るべき行動についても紹介しています。
こういったものを見て、もう一度、御嶽山の災害を考えてみるべきではないでしょうか。悲しみや恐ろしさを忘れないことは、それももちろん大事ですが、今までわたしたちはそこで止まってしまって、問題の本質を考えてこなかったのではないでしょうか。
火山についての知識。もしもの時の備え。両方が合わさって初めて本当の防災が始まります。噴火だけでなく、津波や水害も同じこと。
ひとつひとつの災害を、自分の問題としてとらえ、自分だったらどう動くかな、どう備えたら大丈夫かな、と、考えるところから、一緒に始めましょう。
最後になりますが、火山のふもとに生まれ、火山に関わって生きるひとりの人間として、これ以上、火山噴火が大きな災害になることがないように、努力していきたいと思います。