火山活動自体は鎮静化に向かっていますが、新たな避難計画は警戒レベル4を想定して作られました。
箱根山 協議会が新たな避難計画を承認 NHKニュースWEB
新たに作成された避難計画では、噴火警戒レベルが4に引き上げられた際、大涌谷から半径2.1キロを目安に立ち入りを禁止する内容となっています。
地域住民の避難先としては、火口から8キロ離れた箱根湯本地区などに避難場所を設置するほか、近隣自治体へ避難住民の受け入れなどの協力を要請する形となっています。
では、観光客の避難体制はどうなっているでしょうか。
観光客への対応としては、宿泊施設や自治会の担当者が車を使って避難させるほか、公共交通機関が止まった場合は町がバスを用意してふもとの駅まで送る計画です。
自家用車で来る人だけでなく、公共交通機関を利用して来る観光客も多い箱根ならではの対応と言えます。
以前、箱根ジオパークの基幹施設である箱根ジオミュージアムに立ち寄ったのですが、箱根が行ってきた数々の防災対策の展示の中で、一番力が入っているように感じたのは、山崩れを防ぐための工事の内容についてでした。箱根の山は、噴き上がる火山性の蒸気や熱によって一部の地質が変質し、山崩れを引き起こしやすいという性質を持っています。地震や大雨でひんぱんに山崩れが起き、たくさんの被害が出てきました。今までは、それが一番災害としては大きかったし、心配だったわけです。
ですが今回、噴火警戒レベルが4、5になったときのことを想定した避難計画を作ったことで、箱根は火山防災で更にスキのない火山地域となりました。
以前にも、箱根地域の防災についてはニュースで取り上げお伝えしてきましたが、火山防災のエース、有珠山の火山マイスター制度などを学んだ成果が、こうして出てきているのではないでしょうか。
素晴らしい観光地としてだけではなく、防災でも進化を遂げた箱根。避難規制が緩和された地域では、温泉の営業再開も準備されています。この秋、新たな火山との付き合い方を始めた箱根で、温泉を楽しむのもいいかもしれませんね。