世界の阿蘇があなたの故郷に!ジオガイドお勧めの体験型イベント2つ

唱歌の「ふるさと」はご存知ですか?

「うさぎ追いし、かの山」と始まるこの歌、現代では、うさぎが美味しいなんて、という誤解を生んだり生まなかったりしているようです。(笑)

もう誰も、兎追いなんてしたことのない日本。いいえちょっと待って。日本のどこかには、まだ兎を追っているところがあるかもしれない。

そのひとつが、阿蘇ジオパークの産山エリアです。

産山村は、大分県との県境に位置しています。名水百選にも選ばれた池山水源と、段々畑でとれるおいしいお米が自慢のエリア。村の花はヒゴタイです。まあるい紫色の花をつけるこの花、お盆の時期には、ご先祖様に盆花として供えられますが、実は日本が大陸と地続きだったことを示す植物でもあります。以前にこちらの記事でもご紹介しましたね。

この産山村では、毎年2月になると、参加者を募っての兎追いを開催しています。

参加者は横一列のフォーメーションで、兎に逃げられないように離れすぎず、それでいてくっつきすぎずの間隔を保ちながら進みます。掛け声は、「チョーイチョイチョイチョイ」。寒さに負けず、元気よく声を出してくださいね。手に持った竹の棒で地面を叩いて音を出しながら、兎を追います。

隊列が輪に囲むように集まりながら行く先には、網を持った隊が兎を待ち構えています。追われた兎がこの網に飛び込むように追っていくわけです。山の地形を利用し、より兎が網に入りやすいようにと工夫がされています。

産山村のうさぎ追いでは、実際に兎が捕まえられた年もありました。兎はみんなに散々撫でられて、また野山に戻されました(笑)。

ガイドは、小学校の頃に学校の行事として体験しています。朝の5時から集まって、こひるという朝ごはんと昼ごはんの間のお弁当を持って。阿蘇の2月ですから、それはそれは寒くて、弟はずっと寒い寒いと言っていました。小学校でも高学年しか参加しない行事なので、うさぎ追いをした、というと、ひとつ阿蘇の子としてこなれていくというか、一歩大人に近づく感じがしました。

産山村のうさぎ追いは、いつも9時くらいから始められますので、早起きニガテという方も安心です(笑)。

日本人ならうさぎ追い。決して、おじいちゃん、おばあちゃんの頃の話では、ありません。

そして私がもうひとつご紹介したいのが、阿蘇グリーンストックにボランティア登録することで行える、野焼きです。正確にはイベントではなくボランティア活動になりますね。

2011/ 3/19 12:28

野焼きの様子

阿蘇の草原は、実は自然に保たれているものではありません。7~9月の暑いときに、森に火が燃え移らないようにする輪地切りという作業をして、春が近づく3月になると、野に火を放ち、古い草を焼きます。

焼くことで、草原の消毒になり、新しい牧草が芽を出しやすくなります。また、草原は放っておくと灌木が生え、あっという間に森になってしまいますが、野焼きの炎はこの灌木の芽も焼いてくれます。

野焼きの歴史は、1000年とも、10000年とも言われています。阿蘇の民は、火山の麓というある意味で厳しい環境で暮らしてきましたが、牛馬を養い、田畑の土壌改良をするためにも、草原は欠かせませんでした。

そんな野焼きですが、現在は阿蘇も高齢化が進み、野焼きが出来る人が減ってきているため、ボランティアの協力を得て野焼き作業を進めています。

…とまぁ堅苦しいことを書きましたが、この野焼き、実際にやってみるとすごくダイナミックでわくわくします。普段は歩くことのできない草原の中に入れますし、目の前に炎の壁が立ちはだかることもあり、普段できない体験であることは間違いないのです。

ボランティア登録はとっても簡単。毎年2月に、新規ボランティアの研修を行っています。阿蘇グリーンストックのホームページに、12月ごろになるとボランティア募集のお知らせが出ますので、希望の研修日などの必要事項を記入した用紙をファックスするか、郵送します。あとから送られてくる事務局からの案内に従って、阿蘇に来て、研修を受けましょう。研修は1日だけ受ければだいじょうぶです。

研修の内容ですが、先に述べた草原の歴史や、野焼きのやりかたなどを座学で学んだのち、火消しに使う棒を作り、使い方を習います。私が登録した頃は二日かけて行ってましたが、現在はボランティア希望者が多く、また専用の施設も出来た為に、このような形になったようです。大きな炎を扱うので、事故防止のためにも研修の内容はしっかり身につけてくださいね。

登録の研修が2月。実際の野焼きは3月に入ってからなので、間が空いて来づらいよ、と思うかもしれませんが、一カ月待った甲斐があった、と思うような、すごい体験ができます。保証します!見渡す限りの草原が、一気に炎に包まれ、真っ黒になっていく。そこに自分が関わっているというのは、何とも言えない高揚感がありますよ。

ボランティア登録をすれば、次の年は研修なしで野焼きに入れますし、ボランティアの作業は夏や秋にもありますので、どうぞご登録ください。阿蘇の草原とのお付き合いができるようになれば、あなたも立派な阿蘇人(あそんもん)です!

世界最大級のカルデラを持ち、世界農業遺産と世界ジオパークの2つの世界タイトルを持つ阿蘇が、あなたの心のふるさとになる。そんな二つの体験型イベントを、今回ご紹介させていただきました。

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